
愛情のこもった織物は着る人を魅了し、見る人をひきつける魅力に満ちあふれています。土地柄を反映する千態万様の伝統織物をぜひご覧くださいませ。



常に自然の色をいただく、という感謝の念と謙虚さを忘れず、植物から丹念に採取した草木の色で糸を染め、紬を織る志村ふくみ氏。縞や絣など古来の平凡な模様を用いながら、独自の豊かな感性と想像力、高い技術をもって、紬織を芸術作品まで発展させました。
自然に対するその真摯な姿勢は、文筆業においても人々に深い感動を与えており、大佛次郎賞・エッセイストクラブ賞などを受賞しています。


八丈島の伝統的な織物である黄八丈(きはちじょう)。古来から伝わるその技法を親子代々の職人として忠実に受け継いでいるのが山下八百子(やました・やおこ)氏です。
草木染めにより美しく色づいた絹糸を丁寧に織り上げ、素朴で自然な中にも気品の高い風合いを生み出しています。


沖縄・喜如嘉(きじょか)の芭蕉布(ばしょうふ)は、織り上げた後に精錬を行うのが特徴のひとつです。
平良敏子(たいら・としこ)氏は、庶民の芭蕉布の伝統を引き継ぎながら、より斬新で精敏なデザインの作品を生み出すために王朝時代のデザイン、染め織りの要素を取り込むなど、新たな芭蕉布の可能性を追求しています。

![越後上布(無形文化財)[新潟県]](images/spl20_tag_06.gif)
重要無形文化財指定の麻織物。越後縮ともいう。苧麻を手績みした糸を使い、伝統的技法で織られる。絣模様をつけるときには手くびりにより染め、居座機で織り、湯もみ、足踏みでしぼりとりをし、雪晒しをする。また、原料の苧麻には福島県昭和村で栽培されたものを用いる。

![綿さつま絣 [鹿児島県]](images/spl20_tag_07.gif)
琉球絣が起源の織物で鹿児島で織られていたが現在は「綿薩摩」として織られるのみ。木綿を素材とした薩摩絣。もともと薩摩絣とは麻の織物を指していた。戦後、永江明夫氏が木綿の良さを見直そうと、大島紬の締め機で木綿の薩摩絣を完成させた。今では薩摩絣といえば綿薩摩を指すまでになっている。

![久留米絣(無形文化財)[福岡県]](images/spl20_tag_08.gif)
江戸中期の久留米地方に、幼少の頃より木綿織を得意とする器用な少女がいた。この少女「井上 伝」が、着古した藍染の木綿着物をみて、白くなった所とそうでない所を発見し、「絵絣」の技法を考案したといわれている。庶民性の高い綿がすりで、紺地に白または青抜きのかすり柄が特徴。絵かすり、十字がすりなど種々のかすりが織られ、趣味性の高い着物。洋装やインテリアなどにも幅広く愛用されている。

![郡上紬 [岐阜県]](images/spl20_tag_09.gif)
平家の落武者たちが、野生の蚕糸を使い、都の感覚で織り始めたのが発祥といわれている。草根木皮などで着色、手織機にかけて丹精に織り上げたもの。縞・格子・横段・無地を中心とした飽きの来ない柄が普段着として織られた。江戸期に入ると急速に衰え、農家の自家織として細々とその技術が伝えられてきたが、戦後、宗広力三氏により再興された。
